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エドマンド・デュラック画:「真珠の王国」より②

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象の真珠(The Pearl of the Elephant)



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魚の真珠(The Pearl of the Fish)
よく見ると、魚の舌の上に真珠が一粒描かれているみたい。



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猪の真珠(The Pearl of the Boar)



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竹の真珠(The Pearl of the Bamboo)
竹から真珠を取り出して、真珠を繋げている様子にも見えます。



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蛇の真珠(The Pearl of the Serpent)
クッションの上に真珠が一粒のっています。



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雲の真珠(The Pearl of the Cloud)
女性の掌に真珠が一粒。



この中から「象の真珠」で連想したのはエレファント・パールぐらい。
象の牙の内部にたまたまできた空洞部分に、石灰成分が固まってできたもので、
数百年に一度しか発見されない貴重なもので、インドなどでは
昔から崇敬されたり、神聖な儀式に使われたりしたそうです。
あと、エレファント・パールを持っていると、人生で成功すると信じられているとか。
実際に見たことはないけれど、見られる機会ができたら拝んで見たいです。


上の6点のイラストに付けられた題名の
「象」「魚」「猪」「竹」「蛇」「雲」の真珠は
インドの18大プラーナ (古伝説) 文献の一つ、
ガルダ・プラーナにでてくる神聖な宝石のようです。

「真珠の王国」にもこれらを紹介する文章があるのかはわかりませんが、
イラストの雰囲気から関係してそうかなと思ったり。

インド神話か、なじみがなさすぎてわからないことばかり。
でもデュラックの東洋趣味からすると彼にとっては
東洋の神秘に触れる興味深い仕事だったのではないのかしら。
だってどのイラストも本当に素敵なものばかりでうっとりしてしまう♡















*
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by bonplaisir | 2017-06-30 12:00 | 一枚の絵

エドマンド・デュラック画:「真珠の王国」より

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「真珠の王国」から、<真珠の誕生>(The Birth of the Pearl)のイラスト。
人魚絵ではないのですが、デュラックが描く海の世界の絵として上げて見たくなりました。


第一次世界大戦を境にデュラックの絵柄も大きく変わります。
戦前の1913年出版の「バドゥーラ姫」で色彩など兆しは見えますが、
戦後の「タングルウッド物語」では人物の描き方まで変わりました。

1918年にホダー・アンド・ストートン社から出版された
タングルウッド物語」が最後になり、デュラックにとって
挿絵黄金時代の終焉的なギフトブックになりました。

その後、パリの真珠商レオナール・ローゼンタールが書いた真珠の歴史や伝説の本に、
デュラックは水彩画を10点描きデザインもした豪華限定本「真珠の王国」が
1919年にパリで、1920年にロンドンで出版されました。


10点のイラストにはそれぞれ「~の真珠」と題されていて、
真珠の歴史や文化、神話や薬など、魅惑的な内容のようです。

ギフトブックの時代は終わってしまいましたが、
デュラックの素晴らしい絵仕事は健在なのでした。















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by bonplaisir | 2017-06-29 12:00 | 一枚の絵

エドマンド・デュラックの人魚絵③

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人魚絵といってもmermaidではなくてmermanなんですけど☆

Myths the Ancients believed, Glaucus and Scylla というタイトルのイラスト。
1933年、アメリカの週刊誌の表紙用に描かれたもののようです。

タイトルにあるように、古代神話、例えばギリシャ神話にも出てくる
グラウコスとスキュラの物語が主題で、嫌がるスキュラを
グラウコスが追いかけている様子を描いているようですね。


グラウコスとスキュラ

グラウコスは元は漁夫、たまたま口にした薬草で
半身が魚のmermanになってしまいます。
姿が変わったことで水の中が恋しくなります。すると
川の神々も彼を受け入れ、グラウコスも海神になりました。

ある日、浜辺の入り江の水の中や岩場の陰で涼んでいた
乙女スキュラにグラウコスは恋をしました。
ですがスキュラは求愛を拒みます。

グラウコスは魔女キルケに
スキュラが自分に振り向いてくれるよう相談しました。

しかし、グラウコスに恋するキルケは嫉妬から、
スキュラを怪物にしてしまいました。

こうして怪物スキュラが誕生し、
近くに来た船や人を襲うようになりましたが、そのうち
怪物スキュラはそのままの姿で岩場になってしまいました。
もう船や人を襲いませんが、その岩場はその後も
船乗りたちに恐れられるようになりました。

一方、グラウコスはキルケの愛を一時受け入れるのですが、
キルケが人を怪物にし虐待することに愛想をつかし離れてしまいます。
















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by bonplaisir | 2017-06-28 12:00 | 人魚画

アーサー・ラッカム挿絵の「テンペスト」

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*新訳 テンペスト ウィリアム・シェイクスピア/著 アーサー・ラッカム/画 井村君江/訳 LEVEL 2016年



デュラック挿絵の「テンペスト」(1908)から18年後の
1926年に、ロンドンの William Heinemann Ltd から
ラッカム挿絵の「テンペスト」が出版されました。

2016年にLEVELから出版されたこの本は、1974年に出版された
「リバーサイド・シェイクスピア」を底本とし、
うつのみや妖精ミュージアムの所蔵の原書から挿絵を、
同館の名誉館長で妖精学の第一人者の井村君江氏が訳されています。

この新訳の注目点は、帯にも書いてあるように
「エアリエルは妖精ではなかった!」です。
エリザベス王朝の時代の価値観から、
この本では(妖精)と(精霊>との違いを
強く強調して解いています。

戯曲の台本のように構成されているので
舞台劇を観ているように読めます。
そして、丁寧な解説でより楽しませてくれます。

そしてラッカムの素適な挿絵が20点収められています。

以前の記事で、ラッカムの「テンペスト」で描かれた人魚たちですが、
残念ながらこの本には収録されていませんでした。
(なので初版には21点収められていたということですね。)

この人魚の挿絵もエアリエルの歌に因んだものです。
ラッカムはこの場面に人魚の絵も含め、4点の挿絵を描いてありました。
デュラックは人魚絵含め2点でした。


デュラックとラッカムの挿絵で「テンペスト」を見比べたり、
和訳を読み比べたり、楽し過ぎます♡




















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by bonplaisir | 2017-06-27 12:00 | 児童文学

エドマンド・デュラック挿絵の「テンペスト」

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*テンペスト シェイクスピア/作 エドマンド・デュラック/絵 伊東杏里/訳 荒俣宏/解説 新装版1994年 新書館



エドマンド・デュラックが挿絵をつけたシェイクスピア「テンペスト」が、
1908年にロンドンのHodder&Stoughtonから出版されました。

その和訳書が、1980年に新書館からデュラックの挿絵を全部収めて出版されました。
そしてデュラック挿絵の「テンペスト」が国内初の絵本なのでした。
エドマンド・デュラックの挿絵で堪能できる有難い本、こちらはその新装版です。


シェイクスピアの喜劇で、妖精女王と騎士らが中心に描かれる、
楽しくてロマンチックな結婚と魔術と妖精のファンタジーものも、
時代の流れ、社会の動揺などで<妖精の時代>も末期にはいり、
その中で書かれた「テンペスト」も魔法の終りを告げるような物語です。
そしてシェイクスピアの最後の戯曲ともいわれています。



そうそう、デュラックの「テンペスト」が出版されたこの年は
アーサー・ラッカムもシェイクスピアの「真夏の夜の夢」の挿絵を描き
William Heinemannから出版されています。

どちらも40点もの挿絵が収められ、
シェイクスピアの贅沢な本が出版された素敵な年なんですね。















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by bonplaisir | 2017-06-26 12:00 | 文学/戯曲

エドマンド・デュラックの人魚絵②

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1908年出版、デュラック画のシェイクスピア「テンペスト」から、
第1幕の2場で、エアリエルの歌から人魚が描かれています。


Full fathom five thy father lies;
Of his bones are coral made;
Those are pearls that were his eyes;
Nothing of him that doth fade,
But doth suffer a sea-change
Into something rich and strange.
Sea-nymphs hourly ring his knell:
Ding-dong.
Hark! now I hear them — Ding-dong, bell.


父は五尋の 水底に
その骨は今 珊瑚珠に
その両の眼は 真珠玉
その身は朽ちず わだつみの
奇しき力に かえられて
今は貴き 宝物
水の妖精 打ち鳴らせ
弔いの鐘を ディンドンベル
お聞きよ お聞き
あの鐘の音を ディンドンベル

*新書館 テンペスト 伊東杏里/訳より引用



この歌の冒頭部分、水の妖精を人魚姿で描いたのですね。

Full fathom five thy father lies;
Of his bones are coral made;
Those are pearls that were his eyes;

父は五尋の 水底に
その骨は今 珊瑚珠に
その両の眼は 真珠玉



ナポリ王の息子フェルディナンド王子がエアリエルの歌を聴いて、
嵐の海で難破し溺死したと思われる父王アロンゾーを思い出します。


以前記事で、ラッカムのテンペストからの人魚絵は
この歌の後半部分を描いたのでした。















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by bonplaisir | 2017-06-24 12:00 | 人魚画

エドマンド・デュラックのアルファベットブック

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*Lyrics Pathetic & Humorous from A to Z (Dover Children's Classics)
 Edmund Dulac Dover Publications.2009



「 Lyrics Pathetic and Humorous from A to Z 」は1908年に
Frederick Warne&Co.によってロンドンとニューヨークで出版されました。
アルファベット順に24枚のイラストがついていますが、
X.Y.Zだけひとつのイラストにまとめられている。

2009年にDoverがペーパーバックの復刻版を出してくれました。
A4に近いサイズなのでイラストが存分に楽しめます。

それぞれのアルファベット一文字目で始まる複数の単語を取り入れて
言葉遊びのような楽しさは、そのイラストもコミカルなものも多いです。

コミカルな様子の描写にはノーマン・ロックウェルのイラストにも
影響を与えたのかな?と思えるようなものも。

全イラストを観られるサイトがありました



Doverから出版される前、1994年に出版された絵本もあります。

タイトルが「F」で始まる
「F Was a Fanciful Frog」
子供が手に取り易そうなタイトルにしたのかしら?♡

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*F Was a Fanciful Frog: Edmund Dulac's Limericks Abbeville Pr 1994.

ハードカバーでA5版くらいの可愛らしいサイズの絵本です。

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どっちの本も捨てがたいのです(笑)















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by bonplaisir | 2017-06-23 12:00 | 欧米テキスト絵本

エドマンド・デュラックの人魚絵①

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1908年に出版されたアルファベットブック
「Lyrics Pathetic and Humorous from A to Z」のなかで
「U」のイラスト。

ウンディーネがイワシとかくれんぼしいる絵です。

U was a youthful Undine
In the kingdom of ultramarine.
Often week after week
She would play hide and seek.
In the weeks with an ugly sardine.



「U」はやっぱウンディーネからですよね。
でもウルトラマリンやアグリーとかできるだけ
「U」で始まる単語をいれるようにしているみたい♡
















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by bonplaisir | 2017-06-22 12:00 | 人魚画

ウォルター・クレイン画の「妖精の女王」

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*Illustrations and Ornamentation from The Faerie Queene (Dover Fine Art, History of Art)
 Dover Publications 1999年




1999年にDoverからウォルター・クレイン画の「妖精の女王」にそえられた
イラストとオーナメントだけをまとめた図版集がでました。
この本には、全6巻と断篇から、扉絵7点、挿絵が88点、
章頭装飾、章末装飾、装飾文字、装飾帯など255点と網羅されています。

眺める度にため息もの、細部まで凝りに凝った装飾、ひとつとして重なるモチーフがなく、
挿絵を飾る装飾枠にも物語性ある表現でまとめあげて素晴らしいのひとこと。
描きこみ内容の濃さから、そのクォリティを保つモチベーションも凄いです。

前日の記事の人魚の装飾枠も素敵なんですよね♡

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エドマンド・スペンサー(Edmund Spenser)の代表作
「妖精の女王」(The Faerie Queene)は
16世紀のイングランド女王エリザベス1世を象徴とする
“妖精の国″の女王グロリアーナに仕える騎士の冒険を、
アーサー王物語を題材に書かれた、寓意に満ちた長編叙事詩。
本来全12巻で構成され、各巻で12の徳を書く予定でしたが、
「神聖」「節制」「貞節」「友情」「正義」「礼節」と6つの主題を取り上げて、
全6巻と断篇で構成されました。

1894-1896年にトーマス・J・ワイズが編集し
ウォルター・クレインが挿絵を手掛けました。

3年がかりのプロジェクトで1000部刊行され、
19世紀のアーツ・アンド・クラフツ運動が生んだ最も美しい本のひとつとされています。


そうえば、この本も先日の行ったウォルター・クレインの展覧会で堪能できました☆





















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by bonplaisir | 2017-06-21 12:31 | 解説・図版本

ウォルター・クレイン画:「妖精の女王」からの人魚たち

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16世紀のイングランドの詩人・エドマンド・スペンサー(1552頃-1599)の代表作、
長編叙事詩「妖精の女王」(The Faerie Queene:1590-1609)全6巻と断篇とで
構成されたものにクレインが1894-1896年にかけてモノクロの挿絵を描きました。

その中から第2巻に収められている挿絵。
このイラストには装飾枠もあり、添えられている言葉があります。

Guyon, by Palmers governaunce,
passing through perils great,
Doth overthrow the Bowre of blisse,
and Acrasie defeat.
















*
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by bonplaisir | 2017-06-20 12:00 | 人魚画


挿絵とか絵本とか画集とか、気ままに覚え書き。


by haruchonns

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